資源小国の日本にとって、使った以上の燃料を生み出す高速増殖炉は欠かせない。しかし、もんじゅにはこれまで9千億円以上を投じており、多額のコストに見合うだけの成果が得られるか疑問視する声もある。さらに「アキレス腱(けん)」ともいわれるナトリウムの取り扱い技術の確立や、14年5カ月の「空白」を生んだ情報公開の徹底など、事業者に突きつけられた課題は大きい。
大半の原子力発電では、熱を伝える冷却材として水を使うが、もんじゅはナトリウムを使う。ナトリウムは平成7年の漏洩(ろうえい)事故のように、空気に触れると燃え、水と激しく反応する。
このため、職員らはナトリウム取り扱い技術の向上に努めているほか、設備面でも、火災報知器の増設や、監視カメラを180台設置するなど対策に万全の体制を整えてきた。
一方、もんじゅは研究段階の原子炉だが、ウランを有効活用する「核燃料サイクル」の柱との認識で、建設費だけで6千億円を投じ、維持費などで毎年200億円が費やされてきた。
もんじゅは15年後に、実用化の可能性を調べる「実証炉」、40年後に「実用炉」(商業炉)を目指す工程がある。しかし、電力関係者は「コスト問題を解決しなければ高速増殖炉を建設する会社は現れない」と危惧(きぐ)する。
コストやナトリウムの取り扱いの困難さから、米国や英国など先進国では、高速増殖炉の研究開発から撤退。一方、中国やインドなどの新興国では開発を進めており、運転再開したもんじゅに注視している。(天野健作)
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